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グランマコラム

葬祭アドバイザー・コーディネーターの安藤 富久が、日々の仕事の中で気付いたヘンなこと、面白いことなど綴ります。

死亡診断書は何を語る?

死亡診断書は自然死or病死の時、主治医が書いてくれるものです。
不審な死亡や事故死などは警察の扱いになり法医学の監察医が死体検案書を書いてくれます。解剖をした場合などは直ぐに死亡原因が断定されず3ヶ月~半年と時間を要する事もあります。

今年の2月末、都内の雪の積もった工場の敷地内で滑って転倒し上腕骨折した社員の方が救急車で病院へ運ばれました。手術は一応成功したのですが、容態が急変し5日後に亡くなりました。

お葬式の為の打ち合わせが進み48時間ほど経ったところで、奥様が病院側の手術後に対する処置に大きな疑問を持っており胸につかえていることを私に告白されました。

この病院が出した診断書には「病死 又は 自然死」に○が付けられていました。
私も死因について、「外因死」に○が付いてない事にも改めて気が付きました。

奥様は主治医に電話で再度説明を求めましたが上腕骨折が肺塞栓に結びつかないという理由で「病死」としたという返答でした。
労災の認定にも関わる微妙な問題も内包していると感じましたが、奥様の気持ちは「何故お父さんは死ななくてはならなかったのだろう?」というやり切れない疑問でいっぱいだったようです。

死亡した病院を管轄している警察署へ届けはっきりした死亡原因を出してもらうのが良いかも知れないと助言し、打ち合わせを中断し奥様達遺族は警察へ説明に行きました。

その結果は「医療過誤の疑いが濃厚」ということで司法解剖する事になり、予定していた通夜・葬儀は全てキャンセルし日程を変更することにしました。

監察医からの「死体検案書」により火葬許可を取り、死後11日目に荼毘に付すことが出来ましたが、ご遺族の方々は「これからどのような結果が出ても故人は帰って来ないけど、心の重石がとれました」と私に語ってくれました。

ご家族が亡くなってしまって、仕様がないと思って受け取っている「死亡診断書」の中身には稀にはこのような問題が隠されている場合もありますので、納得のいかない場合には関係者にまず相談して見たら如何でしょうか。

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