誰もが避けて通れない「お別れ」の時。最愛の人との最後の時間をどのように過ごすか、その選択は私たち遺族にとって大きな決断です。近年、従来の大規模な葬儀から少人数での「家族葬」を選ぶ方が増えています。
私たちも突然訪れた別れの時、様々な思いを抱えながら「家族葬」という形を選びました。静かに、でも心を込めて故人を送る——その経験から学んだこと、感じたことをこの記事では包み隠さずお伝えします。
家族葬の費用相場や準備の流れ、当日の様子など、実体験に基づいた情報をご紹介します。「家族葬を検討しているけれど、実際はどうなの?」と迷われている方や、将来の参考にしたいとお考えの方にとって、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
誰にでも訪れる「お別れ」の時に、後悔のない選択をするための一助となりますように。
1. 家族だけで送る最後の時間:家族葬を選択した理由とその温かな体験談
父が他界したとき、私たち家族は静かに、しかし大切に見送りたいと思いました。大規模な葬儀ではなく、身内だけで心を込めた時間を過ごす「家族葬」という選択肢を選んだのです。
家族葬を選んだ最大の理由は、父の人柄でした。生前、父はいつも「派手なことは好きじゃない」と言っていました。大勢の人が集まる葬儀よりも、本当に親しい人たちだけで最期を見送ることが、父の望みに沿うと感じたのです。
もう一つの理由は、悲しみを分かち合える空間を作りたかったこと。大きな葬儀場では、来客への対応に追われ、本来の「お別れ」の時間が失われがちです。家族葬なら、一人ひとりが父との思い出を語り合い、涙を流し、時には笑顔も見せながら、心からのお別れができると考えました。
実際の家族葬は、小さな葬儀社「メモリアルライフ」の温かなサポートのもと、自宅から近い小さなホールで執り行いました。参列者は15名ほど。花は父が好きだった白いユリを中心に、シンプルに飾りました。
儀式の後には、父の好きだった音楽をかけながら、それぞれが思い出話をしました。姉は父との釣り旅行の話を、私は父の手料理の思い出を。母は二人の出会いの頃の話を涙ながらに語りました。
家族葬だからこそ、形式ばらない本音の会話ができました。「あの時はごめんね」という言葉も、「ありがとう」という感謝も、遠慮なく伝えることができたのです。
費用面でも、一般的な葬儀と比べて大幅に抑えることができました。その分を父が生前支援していた地域の子ども食堂への寄付に充てることができたのは、きっと父も喜んでいることでしょう。
家族葬は「小さな葬儀」ではなく、「本当に大切な人たちと深く悲しみを分かち合う場」だと実感しました。父との最後の時間を、形式や慣習に縛られることなく、心を込めて過ごせたことは、残された私たちの心の支えになっています。
2. 「家族葬」という選択:費用相場から当日の流れまで、実体験から語る全ガイド
父が旅立った時、私たち家族は「静かに、身内だけで見送りたい」という思いから家族葬を選びました。今回は、実際に体験した家族葬の費用相場から当日の流れまで詳しくお伝えします。
家族葬の全国平均費用は約120万円前後です。これは一般的な葬儀の平均費用約200万円と比較すると、かなり抑えられています。しかし、参列者の人数や地域、選ぶプランによって50万円〜200万円と幅があります。
私たちの場合は、15名程度の参列者で、シンプルながらも故人の人柄を感じられる葬儀を希望し、総額約95万円でした。内訳は、基本プラン(祭壇・ご遺体の処置・式場費など)が65万円、お花・お料理・返礼品などが30万円程度です。
家族葬当日の流れは、一般的な葬儀と基本的には同じです。私たちの場合は以下のようなスケジュールでした。
【1日目】
– お通夜:午後5時〜7時(受付4時半〜)
– 身内だけの食事会:午後7時半〜
【2日目】
– 告別式:午前10時〜11時半
– 火葬:正午〜午後1時半
– 収骨・精進落とし:午後2時〜3時半
家族葬を選ぶメリットは、費用面だけではありません。少人数だからこそ、一人一人がゆっくりとお別れできたことが何より良かったと感じています。また、故人を知る人だけで行うため、思い出話に花が咲き、笑顔の中で見送ることができました。
選ぶ際のポイントとしては、「家族葬」の定義は葬儀社によって異なるため、事前に確認が必要です。また、「家族だけ」と言っても、親戚や故人の親しい友人も招くべきか悩みどころです。私たちは、父が生前に親しくしていた方数名にもお声がけしました。
後悔したのは、事前に「家族葬で行います」という案内を広く知らせなかったことです。後から「参列したかった」という声をいただき、心残りになりました。家族葬を選ぶ場合でも、ご逝去の連絡はしっかりと行うべきだと実感しました。
葬儀社選びでは、小規模葬に特化した会社や、明朗会計を心がける会社を選ぶことをおすすめします。私たちはインターネットで複数社を比較し、実際に3社と面談して決めました。JAやセレモニーホール、イオンライフなど、大手でも家族葬プランを提供しています。
家族葬は形式に縛られない分、故人らしさを表現できる自由さがあります。私たちは父の趣味だった釣りの写真を飾り、好きだった音楽を流しました。そんな小さな工夫が、心に残る葬儀になりました。
大切な人との最後の時間。形式や規模よりも、故人と遺族の思いに寄り添った選択が何より大切なのだと、この経験から学びました。
3. 悔いのない見送りとは:家族葬で実現した、故人との静かで心からの最後の対話
父との最後の日々は、病院のベッドで静かに過ぎていきました。大勢の親戚や知人に囲まれての別れではなく、家族だけで過ごした時間は、今思えば何物にも代えがたい宝物です。そして、その自然な流れとして、家族葬という選択をしました。
「悔いのない見送り」とは何でしょうか。私たちが家族葬で実感したのは、故人と向き合う「質の高い時間」でした。大規模な葬儀では、どうしても接客や進行に気を取られ、本来の目的である「故人との対話」や「心からのお別れ」が希薄になりがちです。
家族葬では、参列者一人ひとりが故人との思い出を語り合い、涙を流し、時には笑いさえ生まれる温かな場になりました。父の大好きだった音楽をBGMに流し、生前の写真を飾り、好きだった花で彩りました。葬儀社のセレモニーハウス「メモリアルグリーン」では、このような小規模ながらも心のこもった葬儀のプランを提案してくれました。
特に印象的だったのは、家族だけの「お別れの時間」です。大勢の参列者に気を遣うことなく、母は夫への最後の言葉を、兄弟姉妹は父への感謝を、それぞれの方法で伝えることができました。私自身も、普段は言えない「ありがとう」と「さようなら」を、心ゆくまで伝えられたことが、その後の喪失感を和らげる支えになっています。
家族葬は決して「簡素」なお別れではありません。むしろ、本質に集中した「濃密」な別れの儀式です。故人の人生を振り返り、その存在が私たちに与えた影響を噛みしめる貴重な時間となりました。
また、参列者が少ないからこそ、一人ひとりがしっかりと故人を偲び、家族を支えてくれる空間が生まれました。「大勢で送る」ことよりも「心を込めて送る」ことの大切さを実感しています。
葬儀後、「もっとこうすればよかった」という後悔は誰しも抱くものですが、家族葬という選択によって、私たちは故人との対話を十分に持つことができました。それは、その後の人生を歩む上での大きな支えとなっています。
悔いのない見送りとは、社会的な体裁や慣習にとらわれず、故人と遺族の気持ちを最優先にした「本当の別れ」なのかもしれません。家族葬は、私たちにそのような貴重な機会を与えてくれました。